青本有加 立教大学

トーゴ、環境NGO活動記

 今年2011年4月から10月末までの7ヵ月間、西アフリカのトーゴの環境NGO,JVE internationalにてインターンシップを行っている立教大学4年の青本と申します。幸運なことに、今回この場をお借りして、主に私のインターンシップの活動に関してお話させていただけることになりました。この活動記から、トーゴについて少しでも関心を持っていただけると幸いです。
 それではまず、私のインターンシップ先のJVE(JEUNES VOLONTAIRES POUR L'ENVIRONNEMENT)についての紹介を。JVEは、コミュニティで起きている環境、開発に関する問題解決へのアプローチを目的として、2001年にトーゴ人の学生を中心として設立された環境NGOです。今年は設立10周年にあたる節目の年ですが、このわずか10年の間に西アフリカを中心とする世界18カ国、トーゴ国内でも42の支部を抱える、今やトーゴ最大の環境NGOと言うことができます。


 JVEでは、気候変動問題、水問題、電力問題、環境教育、トーゴ-ベナン間ダム問題のプロジェクトがあり、現在ロメの国際本部では私を含め30名程が活動を行っています。 そして今回は、私がトーゴに来て立ち上げた、環境教育プロジェクト内の環境美化・マナー改善プログラムに関してご紹介させていただきます。
 その名もChange Action of Trash program (通称CAT)。Missionは「To make common sense that “trash is put in trash box.”」、「ゴミはゴミ箱に」という常識の構築です。
首都ロメ市内の多くの道路はまだ舗装がされていませんが、現在多くのメイン道路にて、大規模な道路建設が行われ、街の整備が正に着々と進んでいます。 しかし、その道端や学校の教室前等いたる公共の場で数多くのポイ捨てが見受けられ、道に多く放し飼いされている多くの鶏やヤギ、犬がこのゴミをついばんでいます。現実問題、多くのNGOが環境問題への活動を行っている今も尚、トーゴの人々の環境への関心、配慮は、残念ながら皆無に等しいのが現状なのです。
 身近だからこそ意識しづらい大きな問題。私は、この「ポイ捨て」という小さな行動が起因する、身近な環境から私達人体の影響まで波及しかねないこの問題に、人々が意識を少しでも向け、環境問題を身近なものとして捉えてもらいたいと、新たな常識の構築のためにこのプログラムを6月末にNGO内で立ち上げました。 
そしてプログラムを作成するにあたって、ポイ捨ての意識調査を主にプログラムの対象としている小中学生50名にアンケートをとったところ、結果は以下のようでした。
 100%の子供たち=毎日ポイ捨てをする、55%の子供たち=毎日6回以上ポイ捨てする80%の子供たち=ゴミ箱が身近に無いことがポイ捨て原因14%の子供たち=ゴミを持ち帰るのが面倒なのがポイ捨て原因
 つまり、アンケート回答者全員にとって、ポイ捨てが日常化しており、その大半がゴミ箱等ゴミを捨てる場所がないために道端や校内等いたるところでポイ捨てをするというものだったのです。


 この結果等を受け、具体的な活動内容として以下の3段階を設定しました。
1、身近な環境問題への問題提起、気付きと学びの機会提供 ロメ市内小学校にて週に一回、4回コースで地球環境問題や環境美化・マナー改善の主に知識会得と行動改善のためのクラスの開講 
2、ゴミ箱設置による具体的な行動変化への促進 ポイ捨てされたピュアウォーターのパックを再利用したバック製作、販売を手がけているNGOのSTEJ(URL:www.stejtogo.org)と協働し、ピュアウォーターのパックを再利用したゴミ箱を作製、一校に3個ずつ寄付。 
3、校内ポイ捨て防止のポスター作成、校内啓発活動実行最終授業内で生徒自身の手で校内ポイ捨て防止を掲げるポスターをデザイン、作成を行い、そのポスターをクラス終了後、校内に掲示、校内全体の活動促進に繋げる。 
この7月にロメ市内の2校にてクラスを既に実施し、9月末から10月末まで7校にて実施予定です。
 7月に実際にクラスをつくり、子供たちと触れ合う中で、教える立場の私から感じたことは、言語や常識の違いの難しさもさながら、何よりも「主体性を意識させること、そこから行動の変化へ繋げることの難しさ」でした。
 たとえ問題と頭で理解していても、道端に「ポイ捨てする」行動自体を変えなければ現状はなかなか変化しません。だからこそ、できるだけ多くの子供たちに伝え、共に考え、その子供たちからまたさらに行動の変化を波及してもらうために、現在活動を行っています。


  トーゴの人々は本当に常に笑顔が絶えない、陽気で思いやりの心も持った人が多く、常日頃から同僚、友人はもちろんのこと、その他街の人々にも支えられ、本当に大好きな国です。現在、インターンシップも残り一カ月を切ったところですが、今後も引き続きトーゴについて見識を深め、帰国後も様々な形でトーゴという国を発信し、環境問題について考える機会をつくっていきたいと思います。

 

(トーゴ大使館トーゴ新聞より抜粋)